Data Driven Marketing: Rodeo Jeansのケース

Data Driven Marketingで、Rodeo Jeansのケースを扱った。トップブランドのLee Smithにはブランド力で勝てず、下からはRetailerのプライベート・ブランドが安い値段で攻めてくる板ばさみ。そんな中、Salesに関する、値段・競合の値段・Seasonality・コスト・ディスカウント・Off invoiceなど、凄い量のデータを解析して最適価格をはじき出す。


結構地道に回帰分析を使ってSalesをDriveしている要素を洗い出し、モデルを作る。その中で、回帰分析によって得られた、各要素がモデルに与えるSignificanceやCoefficient(各要素にかかる定数)を調べることで、「こっちの値段の上げ下げは競合Aのセールスに影響するが、競合Bの値段の上げ下げはこっちのセールスに影響しない」などの洞察も得られる。


モデルを作ったあとは、競合の出方を考慮に入れるため、競合が値段をそのままにした場合、こちらに合わせて値段を変えてきた場合など、様々なシナリオを想定し、それごとに最適価格をSolver(エクセルに入っているソフト)を使って出していく。その際、自社のブランドだけでなく、他のブランドからの利益も考慮に入れ、全体のカテゴリーの売り上げがBetter offになるようなシナリオでないと、リテール側に受け入れてもらえない。


ただ、例えばプライベート・ブランドと同じくらいに値段を下げるのが計算上の最適価格だとしても、ブランドイメージ、ポジショニングなどの観点から吟味する必要がある。「あのブランドがこの価格で」という効果で一時的に売り上げがあがったとしても、その効果は落ちていき、ブランドイメージも損なわれていくから。こういった定量的分析と、定性的分析をバランスよく組み合わせ、プライシング以外のマーケティング戦略とうまく整合性がとれているようにしなければならない。


また、こういった場合に「製造側の最適価格は○ドルで、リテールの価格は×ドル」と計算が出ても、それをリテール側に納得させるのがそう簡単ではないと思われる。一見、リテール側に損に思われるプライシング(製造側値上げ等)が最適である場合や、カテゴリー全体の利益が上がらなさそうに見える場合、リテールをどう説得するか。その辺、現場ではどんな交渉が行われているのか、話を聞いてみたいと思った。