Seeing What's Next

Yoda2006-05-16


クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」「イノベーションへの解」につづく作品。前二作とメッセージ/コンセプトは一貫していて明確なのだが、それは裏返すと同じことの繰り返しということでもあり、あまり目新しさは感じなかった。


コンセプトのおさらいに続いて、何章かを使ってAirline、Telecom、Healthcareなどの業界がどのように変化していくかを破壊的イノベーションフレームワークを使って考えている。将来のことを見通すという野心は分かるのだが、単に今までのフレームワークを現在のビジネスの状況に当てはめているだけなので、未来予測としてはちょっと物足りない。フレームワークを使って実際に考えてみるのはやはり自分でやるべき作業であって、人がやったものを読んでも(僕にとっては)あまり面白くない。


この三部作から得られたものは、やはりイノベーションを軸とした新しいフレームワーク。これはポーターの5 Forcesなどにも匹敵する強力なフレームワークで、自分が企業戦略について考える際の切り口がひとつ増えたと感じる。「イノベーションのジレンマ」を読んだときには単なる事実の提示に過ぎない気もしなくはなかったが、その後の二作を読んで、顧客、競合、レギュレーションなどを含めた総合的理解に絡む重要な考え方だと実感できた。


ただし重複も多いので、もし一冊だけ選んで読むなら「イノベーションへの解」をお奨めします。