アジア・ビジネス・カンファレンス

Yoda2006-02-14


週末ボストンに行ってきました。目的はふたつ、アジア・ビジネス・カンファレンスに出席することと、友達と飲むこと。


ハーバード・ビジネススクール主催のアジア・ビジネス・カンファレンスはこの類のカンファレンスとしては最大規模のもので、1000人近く参加するとか。スピーカーの顔ぶれも豪華で、アジア開発銀行の黒田さん、日銀の平野さん、ゴルフダイジェストオンラインの石坂さん、などなど・・・ しかし、一番面白かったのは、ランチやパーティでご一緒させていただいた、MKタクシーの青木さんでした。


MKタクシーは京都から始まった会社だ。僕も京都出身なので、愛着があるし、実際よく使った。革新的なサービスのよさ(運転手がわざわざ降りてドアを開けてくれるなど)にもかかわらず、他より値段が安い。登場時はそれこそ革命だった。
MKタクシー創業者の息子である青木さんは、MK東京をひとりで立ち上げて軌道にのせ、そして現在は国際展開を手がけているツワモノ。迫力がありながらもどことなく味がある雰囲気で、話に引き込まれてしまう。


いろいろ聞いた中で、印象に残った点をいくつか;


・経験が大事だ、と言われたのが心に響いた。MBAで理論を学ぶのもいいのだけれど、最後はお客さんがどう感じているか、現場がどうなっているのか肌で感じること。東京進出時、1ヶ月ほどタクシーに乗りまくり、客のニーズやサービスレベルなど肌で感じ取ったらしい。マーケティングに限らず、経営でも、経験に基づいた判断がないと絶対に失敗すると。経験するためには、動いてみるしかない。


・根性。MKはタクシー業界における政府規制と戦い、ついに勝訴した。一時は、お客さんのデマンドがどんどん増えているのにタクシーの台数を増やせず(規制で)、歯がゆい思いをしたらしい。しかし、青木さんの根性というか執念は、規制のような、動かざるものまで動かした。
また、MKが経営的に危ないとき、プレッシャーを背負いながら東京進出をしていて、毎日冷や汗をかいていた、ということだった。極限の状況で目いっぱいもがくことで、工夫も生まれるし、精神的にもストレッチできるのだろう。


・計算された戦略。MKは競合のOccupancy rate(タクシーがお客さんを乗せて走っている割合)の低さに着目、これを上げるためにはどうすればいいか、というところからスタートした。そのためには流しではなく電話をかけて呼んでもらわないといけない。ということは、指名買いされるための理由がないとだめ。そのためにカスタマーサービスを手厚く・・・ MKの特徴であるカスタマーサービスの良さと電話によるオーダー率の高さは、きちんと整合性のとれた歯車のなかにはめこまれているのだ。さながらサウスウエスト航空のようでもある。


「うまく行ってる会社をどうにかしても大したことない。一番えらいのは傾いてる会社を立て直す奴、次は自分で一から作りあげる奴。それ以下は、なし」(青木さん)