Corporate Governance: 株主価値がすべて?(2)

http://d.hatena.ne.jp/Yoda/20060204/p1 で書いた、Al Dunlapのケースについて、今日授業があった。


多くの生徒が「Shareholders' Valueが一番大事。Stakeholderを大事にするのも、それが結果としてShareholders' Valueにつながるからだろ」というスタンスを示していた。そして、「Short-termはともかく、Long-termでみればStakeholderを大事にするのがShareholders' Valueをあげるのだから、経営者はそうすべき」と。


そこで、「ではShareholderの望みが、Short-term限定のターンアラウンドだったら経営者はどうすべきなのか?」と質問してみた。


Professorのコメントは、「だんだんと傾向が変わってきている。以前はShareholder以外のStakeholderに対する法的な責任・義務等はなかったが、最近ではemplyoee代表をボードメンバーに加える(ドイツ)など、法的にもStakeholderを軽視してはならない土壌が整い始めている。従って短期といえど株価のためにStakeholderを犠牲にしていいということにはならない」というものだった。


さらに、Dunlapをきちんとコントロールする企業統治のしくみができていなかったとの指摘に対し、Professorから、「ではDunlapまたはそれに似たようなスターCEOが、コントロールされるのを嫌い、'俺が連れてきたボードメンバーでないとターンアラウンドはうまくいかない、だからこのメンバーでないと引き受けない'と言ってきたら、どう交渉するか?」と問いかけられた。


教授自身も明確な答えは持っていないとのことだが、僕のスタンスとしては、「スターCEOかもしれんが、コントロールを拒むような奴はごめんだ」。基本的にCEOのやりたいようにやらせると、会社を彼/彼女に任せてギャンブルを打つようなもので、リスクが大きすぎる。ある一定のコントロールのもとで、なおかつ力を発揮できるような人材、または、個人の輝きに頼らないチーム/システム/カルチャーがこれからは必要になってくるのでは、と思っている。


おまけとして、授業で教えてもらった、CEOの報酬:一般社員の報酬比、各国の違い。

Japan 11倍 (CEOは一般社員の11倍の報酬)
Germany 12倍
France 15倍
Italy 20倍
Britain 22倍
Hong Kong 41倍
Venezuela 50倍

U.S. 475倍


アメリカではCEOの責任・リスクが大きかったり、プロフェッショナルCEOのマーケットが存在していて報酬の交渉力があったり、Stockによる報酬が多かったり、などの理由が考えられる。なんというかアメリカの企業って一部の超優秀な経営陣が頭を使って下は何も考えずそれに従い働く、みたいなイメージがあるけれど、そういうのも関係しているのだろうか。


CEOの報酬、どの程度が適度なのか、見極めるのは難しいが、CEOになるならアメリカでだなあ。。。