銃・病原菌・鉄

Yoda2005-09-01



前から読みたくて、夏休みにやっと読んだ本。


各大陸にはそれぞれ様々な先住民が住んでいたわけだが、なぜヨーロッパ大陸の住民が各大陸を征服できたのか。アフリカにはもっとも古くから人類が存在していたし、アメリカ大陸にはアステカ、インカと大きな帝国があったし、中国文明は古くから高度だったのに、最終的にヨーロッパに抜かされた原因は何だったのか。


直接的な原因、たとえばスペインがアメリカ大陸の帝国を征服できた要因は、銃を持っていたこと、馬を持っていたこと、そしてアメリカ大陸の人々が免疫を持っていなかった病原菌を持ち込んだこと。しかし、ではなぜ、ヨーロッパ大陸の人々は銃を持てたのか、馬を持てたのか、病原菌を持てたのか・・・それらは究極のところユーラシア大陸が東西に伸びていたせいだと著者のジャレド・ダイアモンドはいう。なんのこっちゃという人は本書をお読みください。


興味深かったのは、同じユーラシアで、しかも先んじていた中国がヨーロッパに抜かされた原因についての考察。専制国家だった中国は、ヨーロッパの国々のような競争や多様性といった環境がなかったため、進歩に対する必要に迫られなかったし、様々なオプションや可能性がどこかで生き延びていつか日の目を見ることができた。


多様性と競争が存在するところに、進歩がある-様々な事象にあてはまると思うが、ビジネススクールが作りたい環境もつまるところこれではないだろうか。
そして、新しいビジネスがうまく育ち、進歩していく社会というのも。


著者はUCLA医学部の教授で、歴史、生物学、人類学等を含めた幅広い研究をしている。そんな知的好奇心に満ちた人生、心底羨ましい。