ジョンソン・ホラーフィルム・クラブ第三回「サスペリア」

ジョンソンスクールのホラー映画クラブのイベント、今週はダリオ・アルジェント監督「サスペリア」を見た。この人はイタリア人で、やたらと女が嫌いらしく、この映画の中でも多くの女の子が悲惨な目にあっていた。


いつもどおり、夜8時にSage Hallの教室に集まり、教授が使うプロジェクターを使って映画を上映。教室を真っ暗にすると、かなり怖い雰囲気が醸し出される。大画面の迫力もあって、ホラー映画を見るにはかなりうってつけの環境だ。


舞台はダンススクール。ダンスを学びにやってきた主人公の女の子だが、初日から殺人が起きるなど、惨劇が次々起こる。そして魔の手は彼女にも降りかかる・・・というようなストーリー。日本のホラー映画と違い、描写はとてもストレートで、思わず目をそむけるシーンも。集まった10人ほどのメンバー達の息をのむ雰囲気が伝わってきて面白かった。


でもやはり日本人としては、たたりとか怨霊系のほうが怖いので、そんなに心の底から震える感じではなかった。次は何にしようかな。

韓国焼肉パーティ

冬にブラジル、アルゼンチンを一緒に旅した韓国人クラスメートのJ夫妻が、ディナーパーティに呼んでくれた。


Jはとてもおしゃれで、写真を撮るのがうまく、テクノロジーとヘルスケアの業界知識に長けた、なかなかのナイスガイ。卒業後はマッキンゼーコリアに行くらしい。ちなみに日本語もほぼ完璧。


彼の部屋は、彼のセンスの良さとテクノロジー系へのこだわりを感じさせるものだった。シックで上品な家具のさりげない配置、中央に存在感抜群のソニーWEGA(50インチくらいあるんじゃないかというでかさ)、そしてそんなテレビがあるにもかかわらず、プロジェクターとホームシアターセットが用意されていて、AV環境は申し分なし。


Jの奥さんが用意してくれた料理を食べながら、焼肉を待つ。Jはベランダで、バーベキューセットを使ってカルビを焼いてくれた。焼きたてのカルビは最高に美味しく、キムチやサムジャンと一緒に、かなりの量を食べた。


その後、ワインを飲みながら、お奨めの韓国映画JSA」を自慢のホームシアターセットで鑑賞。大画面と音響の迫力が凄かった。


なんというか、Quality of Lifeが高いなあ。イサカは田舎町だから、ニューヨークやボストンと比べ、安い家賃で広い部屋を借りることができる(といっても、金持ちが多く住んでいるので、実はアメリカの本当の田舎町に比べるとかなり高いのだが)。 そのため、教授や学長は凄い家に住んでいる。学生も、学校のすぐそばのカレッジタウンというエリアは比較的高くて狭いが、少し離れたところなら、東京では考えられないような広い部屋に住むことができる。去年卒業したClass of 2005の人で、アパートの部屋の中にビリヤード台を置いていた人がいた。僕の同級生では、一戸建て暖炉つきの家に堂々と住んでいる奴もいる。そしてこのJは家で、でかいプロジェクターで映画を見ている。


東京に帰ったらギャップに苦しむのだろうか。そんなことを思いながら家路についたのだった。

日本人卒業生をイサカに迎えて

Yoda2006-04-07


去年卒業したClass of 2005の日本人Aさんがイサカに来てくれました。商社に勤務されるAさんは、コーネル大学の研究室と産学提携的プロジェクトを計画しているそうで、それがイサカ来訪の目的だとか。コーネルだけでなく、日本・アメリカのたくさんの大学と話をしているようです。


Aさんが2年生だったとき僕は1年生だったので、勉強からゴルフまで、いろいろとお世話になりました(どちらかというとゴルフ場で一緒に過ごす時間のほうが多かった)。その先輩が、いまこうやってバリバリと活躍しているのを見ると、頼もしい気持ちになるとともに、自分ももうすぐ働き始めるんだな、という期待とも不安ともつかない気持ちが沸いてきました。


ともあれ、二晩にわたり、日本人・韓国人が集まって、一緒に飲み、卒業生の再訪を祝いました。ゴルフも一緒にやったのですが、僕は今シーズンのデビュー戦ということで、すっかりアイアンの打ち方を忘れており、散々な出来でした。5月の終わりまでプレーし放題のSemester Passを買ったので($215)、気合をいれてプレイしていきたいと思います。

アップルはもはやテクノロジーの会社ではなく、デザインの会社だ

アップル、ウィンドウズをサポートするソフトウェア発表という報を受けて。
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20100408,00.htm


これでMacWindowsを動かすことがオフィシャルに認められることとなった。いちユーザとしては、嬉しいこと。PCのチョイスが広がった。生粋のアップルファンは、複雑な心境かもしれないが。


なぜ嬉しいかと言うと、Windowsを仕方なく使っているけどMacのかっこよさに魅かれる、というユーザにとって、Macが現実的な選択肢となるから。よく考えてみると、Mac OSには魅かれていなくて、単に筐体としてのMacに魅かれている。Macの魅力はデザインにあるのだ。


このニュースは単純に「MacWindows動かせるぜ、イエーイ」という話なのではない。単に動かすだけなら既に誰かがやっている(こちら)。重要なのは、アップルが自らそれをサポートした、ということだ。これは重要な経営判断だ。「もうOSでの(もっと言えば、テクノロジーでの・・・それは言い過ぎかもしれないが)勝負はしません。デザインとUIで勝負します」と言っているようなものだ。


MacにしろiPodにしろ、アップルの競争優位性はデザインとUIとなっている。逆に言うとそれに特化したほうが戦略上は正しく、その他の部分、たとえばOSなどのソフトウェア、もっと広い概念で言うとテクノロジーでの勝負は避け、アウトソースして、リソースをデザインとUIに集中したほうが理にかなう。


ところでなぜアップルはデザインとUIに優れているのだろう。アップルにおけるデザインとUIのイノベーションの起こし方とは。


 「イノベーションは、研究開発費の額とは関係がない。アップル社がマックを開発したとき、米IBM社は少なくとも私たちの100倍の金額を研究開発に投じていた。大事なのは金ではない。抱えている人材、いかに導いていくか、どれだけ目標を理解しているかが重要だ」(スティーブ・ジョブス)


それだけじゃよくわからないので、継続検討。誰か知ってそうな人に聞いてみよう。


携帯電話、テレビ、オーディオ(コレはもう出たか)・・・。アップルには、家のなかのいろんなガジェットをかっこよく、クールに、使いやすくしてほしい。

Japan Club: 餅つき大会

Yoda2006-04-05


ジョンソンスクールのジャパン・クラブ恒例のイベント、餅つき大会が行われた。毎年、ビジネススクールのあるSage Hallのアトリウムを使って開催される。


臼と杵はわざわざニューヨークシティに(車で片道4時間半かけて)行き、日本大使館から借りてくる。炊飯器を複数使い、味はあずき、アイスクリーム、ごま、きなこなどを用意する。けっこう大掛かりだ。1年生とTMO(Twelve month option:1年制のMBAプログラム)の方々、そして何よりも奥様方、準備お疲れ様でした。


お餅を腹一杯食べた後、Iさん、Yさんと共に学校に残ってIntermediate Accountingのテスト勉強。7時過ぎからはじめたが、終わったら夜中12時だった。こんな遅くまで学校に残ったのも久しぶり。何か1年生に戻ったみたいで、ちょっと楽しかった。

MBAの理論を、ブログにおけるアクセス数アップに適用すると


ブログのアクセス数を増やしたい、と思っている人は多いと思う。


そこで思いつきだが、MBAにおける戦略やマーケティングの考え方をブログにあてはめて考えてみる。ここではあくまで、仮定としてブログの成功を企業の成功になぞらえた場合の戦略を書いているだけであって、「ブログを書くならこうやるべき」などという偉そうなことを言うつもりは全くない。


ブログをはじめることを企業をスタートさせることになぞらえると、まずはゴールの設定、ミッションの設定から入る。


○ゴールの設定:認知向上?自分の覚書?単にアクセス数を増やしたい?
 これらはブログをはじめる理由とも言える。「ただ、なんとなく」という理由でも構わないが、しっかりした目標があればあるほどその目標に向かいやすい。これに加え、ミッションステートメントとして、「○○に関する有用な情報を提供する」など社会的、意義を掲げているとなお良い。


次に、ブログの中身=商品の設定。
○商品の設定:ブログのコンテンツは何なのか。特殊な情報なのか、書評なのか、日記なのか、など。余程自信がない限り、ある程度範囲を絞ったほうが良い。つまり「経済ニュースと本とゲームと音楽、時々日記」などというのは、既に確立されたブランドでも持っていない限り(切込隊長など)やめたほうがいい。


○ポジショニングの設定:商品を定義したら、それをポジショニングする。マーケットは競争であふれている。たとえ「ゲームレビューのブログ」と商品を設定しても、他にもゲームのレビューのブログは無数にあり、それだけでは選んでもらえない。そこで、差異化をはかる必要がある。たとえば、「ニンテンドーDSのタイトルに関し、常に最新レビューをお届け」とか、「どんな名作でも辛口批評」とか、何かしら特別な切り口を持てると良い。ここで注意点としては、その切り口がある一定以上の多数の人に響きそうな切り口であるかどうか、と、そのポジショニングをちゃんと守れるのか(掲げるだけではダメ)ということ。できれば、「○○ならこのブログが一番」または「このブログだけ」と言えると、分かりやすくて良い。ナンバーワンまたはオンリーワン。「俺と百冊の成功本」なんて、まさにオンリーワンの好例。


大事なのは、いったんポジショニングを確立したら、それをブレさせない。安易にアクセス数が稼げそうだからと、本来のブログの趣旨とことなる記事を書いていると、コアカスタマー(常連の読者)が離れていき、長期的に失敗を招く。ポジショニングははっきりと、強く、Consistentでないといけない。


また、もし可能であれば、近いと思われる競合ブログを見つけ、それとの比較、差異化、などを意識して書いてみる。同じターゲットに対して、その競合ブログよりも高い価値を出せるようにつとめる。


○ターゲットの設定:誰に対して書くのか
上記の商品・ポジショニングと非常に関連が深いが、誰に向けて書いているのかを明確に設定し、それを常に意識して書くこと。ターゲットの設定により、言葉遣い、使う単語のレベル、説明の必要・不必要など、書く内容が変わってくる。ある程度のアクセス数を狙うのであれば、ある程度母集団が大きいターゲットの設定をする必要があるが、大きすぎるターゲットの設定は結局ターゲティングしていないのと同じになってしまう。自分が提供するブログのコンテンツの価値が訴求できる最大限のターゲット設定は何か、考える。


できればコメント欄などでフィードバックをもらいながら、修正していく。また、はじめからターゲットが決まっているのなら、それに向けた商品・ポジショニングの設定をする、つまり、順番が逆になる。


○ネーミング
上記の内容をふまえたブログ名にする。ブログの内容がわかり、ターゲットに響く表現を使ってあると良い。「R30::マーケティング社会時評」は、ターゲットとブログの内容を過不足なく表した例。R30と絞り込むことでターゲットにより強い訴求ができる。しかもR30という絞り込みは30歳以下の層に対して「自分もオトナの世界を覗いてみたい」という欲求を生ませる。うまい。


○ブランド
すべてを総合したブログのパーソナリティは、ブランドとなる。約束した以上、期待された以上の記事を書き続けると、ブランドはあがっていく。また、コメントに対する対応、記事の中での読者への配慮(しばらく更新を休む際の通知など)、細かなポイントがすべてブログのパーソナリティを形成する。誠実に続けていれば、内容に応じたブランドが創られていくはず。


○成長戦略
安易な拡大路線は禁物(トピック、テーマを増やすなど)。ポジショニングを守れ、ターゲットがブレない範囲で、それでもトピックを増やせると判断したら拡大することもできるだろう。しかし基本はやはり自分が一番得意なものに集中したほうがいい。


どうしても複数のトピックが書きたい場合には、複数のブログを持つという手もある。P&Gは複数の商品、ブランドを、P&Gというコーポレートブランドを前面に押し出さず、それぞれのブランドごとに管理し、マーケティングしている。結果、それぞれの商品がポジショニングをブレさせることなく存在感を出せている。


最後に、アクセス数アップだけを目指していると、時価総額・利益だけを追い求めて自らを縛る企業と同じように、ブログを書くためにブログを書くような状況に陥ってしまう危険がある。つねに自分のゴール、ミッションステートメントに立ち返り、書き続けることが肝要。


# Intermediate Accountingのテスト勉強に疲れ、ついつい現実逃避的に書きなぐってしまいました。現在朝五時。こういうエントリを書いていると、ブログの信頼が下がりそうだなあ。。。

Data Driven Marketing: Logit モデルのまとめ

コーネル大学ジョンソンスクールの人気授業、Data Driven Marketingだが、エクセルを使い、モデルを作って検証、みたいな授業なので、内容・雰囲気を伝えるのが難しい。とりあえず今回の宿題の内容をダイレクトにお伝えしてみる。


どういうタイプの顧客がどれくらいの確率で自社の商品を買うか、分かったら競争上、かなり有利だろう。確率の高いところに集中した戦略をとったり、確率がある程度低いところを底上げしたり、いろいろな手が打てる。


今回のData Driven Marketingで、あるデータをもとに、顧客がある商品を選ぶ確率のモデルを作り上げることを目指す宿題が出た。顧客がどの商品を買ったかというデータ、いくら払ったかのデータ、及び、4つの商品のチョイスそれぞれに対してどのような印象を抱いているか、Price、Maintenanceなど8項目にわたる評価(1-9)のデータがある。これを使ってモデルを作る。以下、エクセルを使ったステップで、実際にやっていないと想像がつきにくいと思われるが、イメージだけでも嗅ぎ取っていただければ。


まず、顧客の評価をもとに、各顧客による各商品ごとのUtilityをはじき出す。
これは、購買に結びつく評価の合計みたいなもので、各項目の評価に、項目のウェイトを掛け合わせ、ブランドエクイティ(固定値)をたすことによって計算される。


商品1のUtility = α(ブランドエクイティ)+β1×(Priceの評価)+β2×(Maintenanceの評価)・・・・ 

#βは各項目の重要度/ウェイトづけ


といった具合。
しかし、この時点ではαとβの値は分からないため、仮定の値をおいておく。


仮に出した4つの商品のUtilityをもとに、それぞれの商品が選ばれる確率をはじき出す。これはそれぞれの商品のUtilityを全商品のUtilityで割ったもので出される。


これらの確率と、実際の購入を掛け合わせて、実際の購入とモデルによる確率がどれくらい整合しているかを計算する。モデルが完璧であればこれが1になるはず。


ここで、Solver(というエクセルの中の計算機能で、モデルを瞬時にリピート計算して最適解をはじき出してくれる機能)を用い、モデルができるだけ1に近づくようなαとβ(先ほど仮設定していた)を求める。


このモデルに基づいて各顧客の商品購買確率を出し、実際とどれくらい整合しているかを見てモデルの有意性を確かめる。


教授の示してくれた例をもとに、チームごとに上記のステップを踏んでみて、モデルを作る。作ったモデルを使い顧客をいくつかのセグメントにわけ、それぞれに対するマーケティング戦略を考える。


このモデルの注意点は
・顧客が商品購入する際に関連する要素(Priceなど)の抜けがあると致命的
・顧客の選択肢を絞ることが難しい、たとえば上記では4つの商品がチョイスだが、実際にはカテゴリーを越えたチョイス(アイスを買うのをやめてポテトチップスを買おう)などが発生する場合があるが、追いきれない


補足・誤り等、ご指摘あればお願いします。